交換効率はどの程度?

佐藤さん

「太陽の光を電気に変えるなんて、太陽電池は本当にスゴイですね!!」

先生

「そうですね。
でも、太陽光発電は無駄が多すぎるという指摘もあるんですよ。」

佐藤さん

「えっ、それはどういうことですか?」

先生

「”降り注いだ太陽光エネルギーをどの程度電気に変えることができるか”ということを変換効率と言いますが、太陽電池の変換効率はどの程度だと思いますか?佐藤さん。」

佐藤さん

「えっ、全部じゃないんですか?」

先生

「実は現在市販されている太陽電池の変換効率はわずか10%~20%程度です。
つまり、8割から9割のエネルギーが全く無駄になっているということです。」

佐藤さん

「そんなに少ないんですか?」

先生

「ええ、ですから太陽発電はものすごく効率が悪いという主張も間違えてはいないわけです。」

佐藤さん

「でも先生、たとえ効率が悪くても太陽の光を電気に変えるというのは決して間違ってはいないと思うんですけど…」

先生

「その通りです。
つまりは考え方次第ということですね。」

先生

「確かに太陽電池の変換効率は良いとは言えません
しかし、元々、なんの活用のしていなかったエネルギーを少しでも電気に変えている訳ですから、その意味では全く活用しないよりはるかにマシといえます。」

先生

「それに、今は変換効率は悪くても、将来はもっと良い太陽電池が開発される可能性は十分にあります。
皆さんが大人になるころには、もっと無駄なく電気を作れる太陽光電池が市販されているかもしれませんね。」

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解説:太陽電池の変換効率はどの程度?

変換効率とは、太陽電池に入射した光のエネルギーのうち電気エネルギーに変換した割合を表す数値です。
もっと具体的に言えば、まり、太陽電池モジュール1m2当り、1kWの光エネルギーを何%電気エネルギーに変換できるかを表します。
これは次の計算で求めることができます。
 
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現在、市販されている太陽電池の変換効率は10%~20%であり、太陽エネルギーの実に8割から9割をロスしていることんあります。

変換効率100%はもともと無理

勿論、変換効率の数字が大きいほうがロスするエネルギーは少ないということであり、より多くの電気を生み出すことができます。
それならば、変換効率100%を目指したいところですが、残念ながらそれは不可能です。
元々太陽の光は様々な波長の光の集合体であり、太陽電池に使われている半導体の種類によって利用できる波長が異なります。
ちまり、その太陽電池が字戸津の半導体の身で作られていた場合、どうしてもすべての波長の光を利用することはできないのです。
実際、一種類の半導体を用いた太陽電池では、どんなに変換効率を上げたとしても論理上、最大変換効率は30%にとどまるといわれています。
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2050年までに40%が目標

より高い変換効率にするためには、複数の半導体を用いることが一番です。
この太陽電池だと、論理上、最大変換値は60%以上になるとされています。
実際、異なる種類の複数の半導体を用いた太陽電池の開発は進められており、まだ実験段階ではありますが、変換効率が40%である太陽電池が既に開発されており、2050年までの実用化が目標となっています。

夜間発電の意外な抜け道

伊藤君

「先生、質問です。」

先生

「何かしら、伊藤君。」

伊藤君

「太陽発電は本当に夜ができないのですか?」

先生

「う~ん、そもそも、なぜ、太陽発電は夜間は使用できないと思う?」

伊藤君

「えーと、それは・・・」

田中君

「・・・太陽がないからじゃないですか?」

先生

「その通り!!今、田中君が答えてくれた通り、夜は電気の材料になる太陽エネルギーがないから電気をつくれないの。
大前提として、何もないところから物を作りだすことはできない。
これは変えることができなルールです。」

佐藤さん

「でも先生、何か太陽光の代わりになrものがあれば電気を作ることができるんじゃないでしょうか?
例えば、月の光とか・・・」

先生

「・・・よいところに気がつきましたね、佐藤さん。
その通りです。
確かに必要なのは材料となる光エネルギーであって、それが本物の太陽光であるかどうかはあまり関係ありません
もし、太陽の代わりがつとまる光エネルギーがあれば、夜間でも太陽光発電で電気を作り出すことが可能です。」

先生

「実際、太陽電池の中には月の光でも電気を作り出すことができるものがあります。
基本的に太陽発電は夜間はできませんが、例外は常にあるということを覚えておいてください。」


解説:夜間でも発電できる太陽電池

太陽電池は太陽の光を電気に変えるため、太陽の出ていない夜間は発電できないというのが基本です。
しかし、何事も例外があり、太陽電池の中には夜間でも発電できるタイプがあるのです。
それが有機太陽電池の1つである「色素増感太陽電池(DSC)」です。
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DSCとはどんな太陽電池?

DSC(色素増感太陽電池)の詳しい構造は次の図にありますが、この太陽電池は、弱い光でも電気に変換できるというのが特徴です。
 
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例えば、蛍光灯やLEDなどの屋内照明や、街灯や非常灯などの夜間照明、さらには月明かりでも発電可能なのです。
このような身近にある存在する微弱な(太陽光とくべてですが)を電気エネルギーに変えることをエナジーハーベスティングといいます。

DSCのメリット

DSCを用いれば、蛍光灯やLEDの照明に使った電気エネルギーの一部を再び電気エネルギーとでし回収することが可能です。
まさに電気を使いながら、次に使う電気を作り出すという無駄のない循環ができるわけです。
もっとも、生み出す電気よりも使う電気の方が圧倒的に多い訳ですから完全に自給自足(?)という訳にはいきませんが…